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ちび恋

第1章 幼馴染




ー幼少期ー




「おい奏多!それ貸せよ。」


ドンっと押される奏多。


私はそれを見逃さなかった。






「ちょっとあたしの大事な弟になにしてくれんの!」


泣き出す奏多の頭を撫でながら私は言う。





「な、なんだよ!」


ひるむいじめっ子に対し私は


「奏多に今度意地悪したらゆるさないからね!」


と威嚇をしたのを今でも鮮明に覚えている。





おびえたいじめっこは、去り際にこういった











「おおお、お前らってどっちが女か男かわかんないよな!!!」



…って。





「知るかばーか!」




ふんっと顔をそらすと、


奏多はもう泣き止んでいた。






「悠おねぇちゃん…ごめんね…?僕が弱いから…」


ふぇ、とまた泣き出しそうになる奏多。


兄弟がいない私にとって奏多は弟のような存在。





「なーにいってんの!奏多を守るのがおねぇちゃんなんだから!いいんだよー」






「うえーーん!」


いきなりまた泣き出す奏多に



「えっ!えっ!」


私は慌て出し、どうすることもできなかった。





「おねぇちゃんごめんねぇえーうわぁあーん」



奏多は私に申し訳ないとかおもってるんだろうな。


そんなこと、気にしなくていいのに

私がなんのために奏多を守りたいのか、この子はなんにもわかってないな。




「奏多。悠おねぇちゃんに悪いと思うなら、
もう泣かないの!

おねぇちゃんは、笑ってる奏多がみたいな。」



頭を撫でながらそういうと、


「ひっく……ひっく…」



涙をゴシゴシっと洋服の袖でぬぐう奏多。






「うん!それでこそあたしの弟だ!えらい!」



「えへへへ…」



嬉しそうに笑う奏多が私のなによりの宝物だった。




「よし、じゃあお家に帰ろっか!
さちこちゃん(奏多のお母さん)も待ってるから!」





私が手を差し出すと、

「うん!」
と返事をして私の手に手を重ねる。




あったかかった。



「よしいこう!」


そのとき私はきめたの。


なにがあっても奏多を守るって。



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