
TRUE LOVE〜本物の愛〜
第1章 暗闇
さっきの、男、ストーカーになりそう。
私は面倒臭いことが嫌い。
ここは適当に彼氏つくって男よけ(むしよけ)しておこうかしら…
曲がり角を曲がると、
裏庭に、いきつく。
ベンチでひとり、たたずんでいると、
「ずっと、好きでした、つきあってください!」
という声がきこえた。
今度は女の声。
誰かが、近くにいるのだ…そうおもった私は
声のした方向へ歩き出した。
もう一個角を曲がったところに彼らはいた。
こんなところで告白なんて、
あっちまで聞こえるし、耳障りよ。
よく見ると、男子生徒は同じクラスの
神谷 祐斗(かみや ゆうと)らしかった。
180センチある長身に細身の、運動神経がいい
よくいるクラスの中心的人物。
へえ。おもしろそうじゃない
立ち去ろうと最初はおもっていたが、
私は様子を見守ることにした。
「ごめんね。
俺、いま好きな人がいるんだ
だから君とはつきあえない。」
神谷はそういった。
私と、同じようなふり方してるのね
「え…それって同じクラスの人ですか…?」
まあ、女の子は振られたみたいだし、私は教室に戻ろうかしら…
神谷が、「そうだよ」と口にするのと
私の足が木の枝を踏み、ぱきっと音がしたのは、
ほぼ、同時のことだった。
しまった!!!
私がいたことを二人は気づいてしまったかもしれない
慌てて後ろを振り返ると2人は私を凝視していた。
うわぁ、私のばかー…
そうおもったのもつかの間。
神谷が口のはしをニヤリとつりあげるのが見えた気がした。
スタスタと私へ向かってくる彼の顔は怒っているようには見えなかったので私は安心した。
「あの、ごめんなさいたまたまあたしー…」
わたしが言いかけたのを無視して、神谷はいう。
「この人だよ。」
と。
