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庭の柘榴

第3章 変化

ある日、珍しく
「今から会えない?」
突然のお誘いがあった。
前もって約束するのが鉄則だったのに。

「うん、いいよ。どうしたの?」

「地元の連中とホテルで飲んでて。部屋もとってあるし...出てこれないかな」

四六時中、彼のことを考えてる私にとってはすごく嬉しいお誘いだった。
メールをしながら旦那をチラッと見ると
ゲームに夢中になってる。
時計を見るともうすぐ20時を回るところだった。

「友達んとこに行ってくる」

そう言うと旦那は興味無さそうに
「ん、あ。」
ゲームをしてる手は止めなかった。
なにか聞かれる前にサッサと身支度をした。お風呂上がりだった私は髪の毛も少し濡れてる状態...軽くドライヤーをかけ直しファンデーションをサッと塗っただけの化粧をした。

彼のいるホテルは自宅から車で15分かからないところだった。
特別、急いだつもりはなかったけど連絡もらってから30分ほどで着いてしまった。

ホテルのロビーに着きソファに座るとメールをした。

「ロビーにいるよ」

「もう着いたのかよ!すぐ行くから待ってろよな!」

メールをしてからしばらく人間観察をしながら待っていた。
ホテルのロビーに出入りする人たちは大きなキャリーバッグを持って楽しそうに歩いている人ばかりだった。

そんな中、荷物もなく座ってるだけの私がすごく浮いてる気がして落ち着かなかった。
早く来ないかな...
どちらの方向から来るのかわからない彼を
キョロキョロしながら探した。

遠くの方から走ってくる彼を見つけると自然と表情が緩む。

私と目が合った彼はニッコリ笑うと私の手を取り部屋に向かった。
始めて手を繋いだ。

「こうして歩いてると2人で旅行にでも来たみたいだな」

そんなことをさりげなく言ってくれる彼が大好きだった。

綺麗なホテルだったけど年数は経ってるため造りは古かった。
客室の廊下はやたら天井が低くて
背の高い外国人は頭がついてしまうんじゃないか...と思うくらいだった。

各部屋からは楽しそうな笑い声やテレビの音が漏れていた。

一番奥の部屋の前で立ち止まりドアを開ける
狭いスペースに椅子が1つとベッドがあるだけだった。

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