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庭の柘榴

第2章 虜

「10時までには帰りたい」

会ってすぐ聞かれたのは何時に
帰ればいいのか。だった...

彼は時間通りに帰してくれた。

「お互い、家庭があるからな。ムチャをするとなにもできなくなるんだ。」

体育会系の彼には似合わず
細かいと感じるところだ。
浮気をする男はマメと言うが
それを象徴してるかのようだった。

別れたあとは寒空の下、火照った身体と心を冷ましながら少し歩いた。
気持ちをリセットしてからでないと
とても帰れない気がした。

「今日はありがとう」

とお礼のメールをしようと携帯を
開くと早々に彼からメールが入ってた。

「俺のうさぎちゃん、楽しかったぜ。
絶対、また会おうな」

自宅に帰るとすぐにお風呂に入った。
ホテルでシャワー浴びたのに
髪の毛も身体も彼のニオイがした。

湯舟で冷えた身体を温めていると
太ももに見覚えのない痣があった。

あぁ...鷲掴みにされたから...

色が白い私はすぐに内出血もする

太ももの痣を辿るとしっかり
彼の指の跡がついていた。

それを見てキュン...としてしまった。
初めての感覚
これが疼くというものか。
その痣が愛おしくて湯舟に浸かってる間、
眺めていた。
断片的に思い出す彼とのセックス...

胸とアソコがうずうずした。

相変わらずメールは毎日きた。
彼は24時間勤務でかえって勤務中の方が
メールをマメにしてくれた。
自宅では一切、携帯を開かないらしい。

しかしたまに自宅にいるはずの日に
メールをくれたりもした。
奥さんが買い物に出かけてる間とか。

メールの内容は他愛もないことだったけど
その少しの時間でもメールを
くれるという行動が嬉しかった。

2週間くらい経っただろうか。

「うさぎちゃん、会おうぜ!月曜日、休みだろ?俺、明けだからさ仕事終わったらすぐに向かうぜ。」

彼の職場から私の自宅まで30分かからない
場所にある。そして私の自宅から彼の
自宅まで1時間弱。
ちょうど帰り道なのだ。

「何時に終わるの?」

「8時半に終わってシャワー浴びて...9時過ぎには行けるな」

24時間仕事をして睡眠は仮眠程度。
つくづく彼はタフだなぁ...と思った。

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