その手で触れて確かめて
第5章 小さな恋の物語(O × O)
岡田side
あれから数ヵ月後、高校の入学式も終わり、
俺と雅紀は同じクラスとなり、席も程近い場所になった。
そして、
同じクラスの、窓際、
一番後ろ。
晴れて、風の強い午後。
バタバタと風に煽られたカーテンがたなびく窓際に佇む、見覚えのある横顔に目が止まる。
まさか…。
その横顔を食い入るように見つめる、雅紀の目。
「うっす、雅紀。」
「ああ、准一か。おはよう。」
まるで、魂を抜かれたような雅紀の様子に、
予感は確信に変わる。
「何だはないだろ?小学校からの腐れ縁なんだから。もっと愛想よくしろよ?」
「お前が馴れ馴れし過ぎるんだよ?親父さん、警視庁のエリートだろ?もっと、それらしく振る舞えよ?あっ!?か、返せ!!」
俺は雅紀の分厚い眼鏡を奪い取り、ふざけ半分でかけてみせ、
窓際に佇む麗人を見やった。
「返せ、って。マジで見えねえんだから!?」
目を疑った。
が、見間違うはずはない。
「…なあ、雅紀、ここ、男子校…だよな?」
てっきり「彼女」だと思っていた。
「は?何言ってんだ?」
俺の問いかけに、雅紀が振り返って眩しそうに見つめた。
あの、光を纏った綺麗な横顔を。
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