その手で触れて確かめて
第5章 小さな恋の物語(O × O)
「白雪姫?俺が?」
クラス委員に名指しされて大野智は戸惑いを露にした。
「いや、でも、白雪姫、って…つまり、女装するってことだよね?」
「大野くんがいいんじゃないか、って声があったから。一応、意見を聞いておこうと思って。」
今や、クラス全員がこのやり取りを黙って聞いている。
俺は確信していた。
大野智は絶対に断らない。
なぜなら、弁護士を志すぐらい、正義感のある奴だ。
今は、アイツに…大野智にどう思われようが構わない。
やがて、大野智は髪を掻き上げ、大きなため息をつきながら、
「…分かりました。」
と、憮然と言い放った。
クラス全員が途端にどよめく中、思わずガッツポーズが出てしまった。
…に、しても、大野のことそういう目で見てた奴が意外に多かった、ってのは何か、安心するなあ…(←?)
言い換えれば、ライバルが多い、ってことになるけど…
で…良いこと(?)は続くもので、
クラスの大半のヤツらが立候補した王子役。
あまりの数の多さに黒板にアミダくじを作ろう、という騒ぎにまでなったが、
なんと、この俺が、
その幸運に与ることとなったのだ。
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