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その手で触れて確かめて

第9章 蜜月 〜side A〜 ② (M × S)



潤side


白く濁ってゆく湯の中で、



翔のモノが僅かに上向いているのが見てとれる。



気持ち良さそうに甘声を漏らし、上向いた顎のラインについ見惚れてしまい、



手が疎かになってしまう。



それどころか、



もっと気持ちよくなってもらいたくてソッチに手が伸びそうになってしまう。


翔「あっ…じ…じゅ…ん。」



下腹部に置かれた手に、翔の手が重なって、



熱を含んだ目でこちらを見た。



翔「触っ…て。」


「えっ…?」


翔「潤の手で楽にして…」


「しょ…」


翔「早く…」


「でも…」



過去の傷にのたうち回る翔の姿を見てしまったら、簡単にうん、とは言えなくてしばらく黙りこくっていると、



翔の手が伸びてきて俺の頬を包み込んだ。



翔「早く…潤の手で楽にしてほしいんだ…」



翔の唇が



俺の唇に重なった。



唇が離れて、



見つめてくる深い色の瞳から目が離せなくて、



ただ黙って見つめていると、その瞳から涙が零れ落ちた。





翔「もしかして俺のこと、可哀想だ、って思ってる?」



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