その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
人目憚らず、
他人様の家でいちゃつくお兄さんたちを後目に、
無言でギョーザにかぶり付く「カズ」。
「あのつかぬことをお伺いしますけどお2人は…」
和「…付き合ってんの。」
「付き合っ…!?」
思わず、口に含んだコーラを噴射。
和「智が俺んちに来る時はいっつもカレシの車で来んの。」
「へー…」
んで、たまたまギョーザを食べようと思った日に、
たまたまお兄さんたちが「カズ」んちに遊びに来てた、ってワケ。
智「ねぇ相葉くん、このギョーザ、どこに売ってんの?」
「あ、実家から送ってもらったんです。」
うんめぇ、をオッサンみたく連発するお兄さんのカレシの「翔ちゃん」、
気持ちいいぐらいの食べっぷりで残りのギョーザをたいらげた。
…あ、食べちゃった。
でも、当の「カズ」はさほど気にしておらず、
ひたすら口の中でギョーザをもごもご噛んでいた。
智「ごちそうさま♪」
翔「じゃ、我々はそろそろ…」
互いに意味深な目配せをしながら、
2人揃って部屋を後にした。
残された空の皿を前に、
俺は大きくため息をつく。
和「ごめん…」
「カズ」は、膝を立てて座ると、
その間に顔を埋めて動かなくなってしまった。
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