その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
あれ?もしかして、泣いちゃった?
和「……」
膝の間に顔を埋めたまま動かなくなってしまった「カズ」。
「え…と…。」
和「……」
…どーしよ!?(汗)
恐る恐る「カズ」に近寄り、顔を覗き込もうとした時、
「カズ」はいきなり、ガバッと顔を上げた。
ビ、ビックリした…。
和「ラーメン…」
「ラーメン?」
和「ラーメン食いに行こ?」
カズはいそいそと上着を羽織ると、
早く早く、と俺を急かしながら外に飛び出した。
「あ、あの…」
少し、背中を丸めるように前を早足で歩いてゆく「カズ」に声をかけた。
和「あ、ちょっと歩くけどもう着くから。」
と、街灯も届いていないような道をすたすたと入っていって、
誰が見ても普通の家にしか見えないところに足を止めた。
和「ここ。俺の行き付け。」
「カズ」は、
まるで自分の家に帰ってきたみたいに普通に入っていった。
「おお!?いらっしゃい!!」
和「相変わらず暇そうじゃん?」
「ばかやろ。今、客が引いたとこなんだよ?」
和「じゃ、そういうことにしとくよ?」
店の主は強面だったけど、「カズ」の顔を見た途端、
白い歯を見せ笑った。
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