その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
和「あー、うまかったぁ♪」
カズは、歩きながら大きく伸びをした。
和「やっぱ、ラーメンはああでなきゃ。」
無言で後ろを着いてくる俺を怪訝に思ったのか、
カズは立ち止まって振り向いた。
和「どうしたの?」
「えっ?あ、何?」
和「さっきから黙ったまんまだから、腹でも痛いのかと思ったからさ?」
「ごめん。ちょっと考えごとしてた。」
カズは足元の小さな小石をコツ、と蹴り飛ばした。
和「ね、1コ聞いていい?」
「何?」
和「何で俺んとこにお酢借りに来たの?」
「あ、買いに行こうとしてたら、上で物音が聞こえたからさ。コンビニまで行ってたらせっかくのギョーザが冷めちゃうから、借りよう、って思って?」
そしたら、その部屋に君がいた。
和「隣はダメだったの?雅紀の隣の部屋、ってほら、あん時一緒にいた教育学部のあの顔の濃ゆいヤツでしょ?」
「そうなんだけど…」
…たまたまなんだけど、
ソイツも部屋にいたことはいたらしいんだけど、
ナンパしてきた年上の女子大生を部屋に連れ込んでて、
コトに及んでいた真っ最中だったらしい。
だから、どのみち、君の部屋に借りに行ってた、と思うんだよね?
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