その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
ま、いいけど?と、
一人言のように言いながらてくてく前を歩いてゆく。
アパートの前まで、2人して微妙な距離感を保ちつつ…。
和「じゃ、おやすみ。」
「うん。」
小さく手を上げ、ぎこちなく笑う。
1段飛ばしで階段を軽快に上がってゆくカズの姿をしばらく見ていた。
踊り場まで来ると、不意にカズが振り向き顰めっ面でこちらを見た。
和「何?キモいんだけど?」
「あっ!?ごっゴメン!」
ナゼか赤面する俺。
「あのっ!?明日、午前中、講義あったよね?」
和「それが何か?」
「一緒に…その行かないかな?なーんて!!」
和「………。」
「同じ経済学部…だよね?」
和「確か、俺の隣もそうだったかな?経済学部の1年生。ソイツと3人でだったらいいよ?」
「えっ?ほ、ほんと?」
2人でじゃないけど…まあ、一緒に授業に出れるんなら…
和「俺のお隣さん、同じガッコの同じ学部、って知ってから毎日のように一緒に行こう、って誘いにくんの。ソイツ、ウザいぐらい馴れ馴れしいからアンタとは気が合うんじゃない?」
ウザい…。
俺、ってウザいとか思われてんのかな?
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