その手で触れて確かめて
第10章 お2階さん。( A × N )
いや…でも、両思い…って…
恐る恐るカズを見る。
カズは、俺とその女の子を見比べたあと、
鞄を肩にかけ立ち上がった。
潤「あれ?帰るの?」
和「う、うん。ちょっと用事思い出したから。」
カズは小走りで学食から出ていった。
立ち上がり、そのあとを追いかけようとするのを松潤に呼び止められる。
潤「どこ行くの?」
「どこ、って…?」
はっきり言えなくて、また席につく。
潤「こいつ、女の子を選ぶ基準がまず胸がデカイことらしいんだ。」
「やだあ♪」
俺は松潤と女の子たちの会話を聞き流しながら、
カズの反応を反芻していた。
あれから4人で学食のランチを食べ、3人とはそこで別れた。
アパートへ帰りつくと、
自分の部屋には帰らず階段をかけ上がった。
そして、2階の、カズの部屋の呼び鈴を鳴らした。
「………」
かたり、とも聞こえない。
もう一回鳴らしてみる。
今度はうるさい、って思うぐらいに続けて鳴らした。
すると…
和「うるさい!!何だよ!?そんなに続けて鳴らすことないだろ!?」
カズは、俺の顔を見るや、慌てて目をそらした。
和「何?」
「あの…」
和「用事がないなら帰ってくんない?」
無情にも閉められようとするドアに、
咄嗟に体を挟んだ。
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