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その手で触れて確かめて

第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )



潤side


行為の後、



あなたは何事もなかったかのように俺に背中を向け、



そのままベッドを抜け出し服を着込んだ。



「帰るの?」



俺の声に肩がぴくり、と反応し、首だけを動かしこちらを見た。



智「明日、早いんだ。」

「そう…」



その横顔を見て、



泊まっていけば…と、言おうとして思わず口を噤んでしまう。



「あの…また、連絡してもいいかな?」


智「うん。」



遠目でもわかる濡れたまつげ。



知ってた。



あなたが、行為の間中、



泣くのを我慢してたこと。



それを知ってて俺はあなたを抱いた。



そしてあなたも、



悟られまい、と俺にすがり付いてきた。



それでも、見てしまったあなたの涙。



焦って、顔を逸らそうとするあなたの顔を捕まえ、


口づけた。



すると、あなたはいやいやをするように俺の手を振りほどき、顔を背けた。



それでも、無理矢理こちらに顔を向けさせて、



頬を濡らした涙の道筋を指先で拭ってやる。



観念したのか、



あなたは俺の胸の中に顔を埋め声を上げて泣きはじめた。



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