その手で触れて確かめて
第12章 甘く、透明なオレンジ( M × O )
智side
潤「大野さんさえよかったら、俺の家で飲み直さない?」
翔くんの顔が頭を過る。
でも…
『コイツ、智くんのこと、好きなんだって?』
翔くんの、あの言葉を思い出して唇を噛みしめる。
翔くんは、僕のことなんてなんとも思っちゃいない。
その証拠に、僕のことを好きだ、って言ってくる人に片っ端から紹介してるでしょ?
だから、いいんだ…。
「いいよ?行こ?」
僕は誘われるまま、松本くんの家に行った。
松本くんは、
僕が家に上がるとすぐ後ろから僕を抱きしめてきた。
そして、今にも泣き出しそうな声で耳元で囁く。
潤「初めて会ったときからずっとあなたのことが好きでした。」
と。
松本くんの言葉は、
僕の胸の奥で、辛うじて繋ぎ止めていたものを、
意図も簡単に切り落としてしまった。
振り向き、僕から松本くんにキスをした。
すると、松本くんは堰を切ったように激しく口づけてきて、
その場に僕を組み敷いた。
「ここはイヤ。」
松本くんの目が見開かれる。
「ベッドに連れてってよ。」
松本くんの体に腕を巻き付け、目を見つめ囁く。
「ここじゃ、体が痛くなっちゃう。」
松本くんは僕の唇にチュッと音を立てて口づけると、
僕の体を抱き上げた。
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