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その手で触れて確かめて

第13章 雨の日に恋をして ( A × N )



雅「あのさ、いい?」


「何?」



すっかり日課になってしまった俺のコンビニ通い。



その日も例外はなく、



マンガや女性週刊誌、果てはエロ本までもを読み漁った。



雅「マンガは百歩譲っていい、として、高校生が堂々とエロ本を立ち読みすんのはどうかと思うんだけど?」


「…んじゃ、マンガだけにする。」


雅「だから、そういうことじゃなくて…」


「さっき、マンガならいい、って言ったじゃん?」


雅「前から言おう、って思ってたんだけど、君さ、他にやることないの?」



…チッ、説教かよ?



わざと大きな音を立て雑誌を棚に戻すと、


出口に向かって歩き出した。



雅「おい、ちょっと待てよ!!」


「今度は何!?」



乱暴に肩を掴まれ、アイツの顔を睨みつけた。



雅「何、じゃ、ねえよ!!お前、それ、売りものなんだから乱暴に扱うんじゃねえよ!?」


店長「まあまあ、相葉くん…」



騒ぎに気づいた店長が慌てて奥から走ってくる。



「……ごめん…なさい。」



唇を噛みしめ俯く。



同時に、俺の肩を掴んだ力がふっ、と緩んだ。



雅「お、俺の方こそ。大きな声出したりしてごめん…。」



その時だった。



視界がじわり、と滲んで、



頬を涙が零れ落ちていった。




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