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その手で触れて確かめて

第13章 雨の日に恋をして ( A × N )



雅「そんなん、しょっちゅう来てんだもん。イヤでも分かっちゃうよ!?」


「プッ…キモっ…」


雅「は?お前、キモっ、って何だよ!?」


「だって、俺のこと、観察してたんでしょ?」


雅「常連だから気になっただけだって?」


「ホントに?」


雅「ホントだって!?」


「まあ、いいや。そういうことにしといてやるよ?」


雅「お前、年上に向かってその上から目線、何なんだよ!?」


「あのさ、俺、客なんだけど?」


雅「エロ本立ち読みして帰る奴が?」


「ボランティアでサクラしてやってるのに?」


雅「だから、その上からの物言い止めろって…あ…。」



急に口を噤み、人差し指を唇の前に立て、聞き耳を立てた。



雅「雨…」


「えっ?」



微かに聞こえる、建物にぱらぱらと雨の当たる音。



雅「夕立かな?」


「止むまで待ってようかな…」


雅「じゃ、俺、あと、30分ほどしたら上がりだから待っててよ?」


「何で、俺、アンタ待たなきゃなんないの?」


雅「メシ行こ?メシ。」


「奢りなら行く。」


雅「お前さあ…」


「俺、お前、って名前じゃないよ。」






俺は、体の向きを横にし、椅子の背もたれに頬杖を付きながら相葉さんを見上げた。



「二宮和也、って名前があるんだから。」


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