その手で触れて確かめて
第13章 雨の日に恋をして ( A × N )
「出よ?」
荷物を持ち立ち上がる俺を不思議そうに見つめる相葉さん。
雅「え?デザート、食べないの?」
「…いらない。」
脇目もふらず歩き出す俺の後を追うように相葉さんも立ち上がる。
雅「どうしたんだよ、一体!?」
追いかけてくる相葉さんを振り切るように早足で歩き続けた。
雅「まさか、と思うんだけど…」
でも…
雅「大野さんと待ち合わせてた人、ってカズの…」
相葉さんの言葉に、思わず足を止めてしまった。
雅「ビンゴ…?」
無言で頭を縦に振った。
雅「いや、でも、ほら、単なる知り合いかもしんないし…」
相葉さんは、俯く俺の前に回り込んで顔を覗き込んできた。
確かにそうかもしれない、って一瞬思った。
翔さんの肩に残された赤い筋。
大野さんの、女の人のような綺麗な指先。
互いを労りあうように見つめ合う眼差し。
俺の中で、それらが1本の線で繋がってしまったんだ。
でも、どうしてかな?
俺はある程度予感してたのか、
少しも悲しくなんかなかったんだ…。
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