その手で触れて確かめて
第2章 劣情と熱情と純情と (A × M )
それからの俺は、
学校から真っ直ぐ家に帰るようになり、
2人の兄貴を驚かした。
でも、それが続けられたのも夏休みの直前までで、
遊び仲間に半ば押しきられるように、
再びクラブに足を踏み入れた。
でも、そこには男の姿はなくて、
また、トイレの個室に女でも連れ込んでいるのかと思い見に行ったりもしたけど、
やっぱりいなくて、
ホールに戻ろうと踵を返した時だった。
誰かに背後から肩を掴まれてよろめく。
「あれだけ言ったのに、また来たのか?」
あの男だった。
「お、ヒロシ、今日はそのガキか?」
その声に驚いた男が俺を背後に隠す。
「イヤ…こいつは…」
「可愛い顔してるじゃないか?え?」
気持ち悪いぐらい、下卑た笑みを浮かべた男が覗き込んでくる。
「今晩のメインディッシュにぴったりだな?」
メインディッシュ?
「あ…いや、こいつはダチの弟で…偶然、姿を見かけたもんだからつい引き止めたんだ。」
そう言いながら、ヒロシ、と呼ばれた男は俺をグイグイと背後に押しやった。
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