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その手で触れて確かめて

第14章 インクルージョン (A × O)



思いがけない翔くんの告白にただただ戸惑うばかりで、



僕は、翔くんが立ち去ったあともしばらくそこで呆然と立ち尽くしていた。



翔『好きだったんだ…』


智くんの庇ってたヤツのことなんてどうだってよかったんだ、



ただ、智くんの俺への心象をよく見せたかっただけなんだ、と。





さっきまで、翔くんが額を乗せていた僕の右肩に触れると、



そこはしっとりしていた。





始業を告げるチャイムを合図に、ようやく重い足取りで歩き始めた。



そして、職員室へと通ずる廊下へと差し掛かった時、



物陰から誰かがひょっこり顔を出した。



雅「大野センセ?」


「あ…相葉…くん。」



いつもと変わらないように見える笑顔。



でもやっぱり、いつもとどこかが違う気がする。



雅「櫻井と…何かあった?」



思わず左手が右肩に触れる。



翔くんの涙を吸い込んで濡れていたそこはほとんど乾いていたけど、



翔くんの言葉と面影は、


時間を追うごとに濃くなっていった。



雅「先生はさ、どうなの?」


「えっ?どう…って?」


雅「櫻井のこと、どう思ってんの?」



相葉くんは頭を掻きながら俯いた。






雅「ごめん。聞いちゃった。」


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