その手で触れて確かめて
第14章 インクルージョン (A × O)
「聞いてたんだ…。」
僕は、右肩に腕を乗せたまま大きく息を吐く。
雅「怒んないの?」
「何で?」
雅「聞かれちゃまずい話だったんでしょ?」
「ふふっ…そうだね?」
どうでもよかった。
相葉くんだったから、って思いもあったせいかもしれない。
今から授業にいかなきゃなんない、って追いたてられてる訳でもなかったし、
自然と足どりもゆっくりになる。
相葉くんも、そんな僕の歩調に合わせてくれて、
二人で並ぶように歩いた。
「僕は、翔くんのことが大好きだった。」
相葉くんの足がピタリと止まる。
「でもそれは、翔くんが僕のこと好き、って言う気持ちとは全然違うけど…」
雅「ふーん…?」
相葉くんは、ポケットに手を入れて天を仰ぎ見るように顔を上げた。
雅「先生、俺、やっぱ、学校辞めることにした。」
「え…!?」
雅「退学届け、出そう思ってる。」
「そんな…!?」
雅「さっきもそれで職員室行こうとして、連れ立って出てく先生と櫻井を偶然見かけて、つい追っかけてきちゃったんだけどね?」
「早まらないで!!ね?お願いだから!」
上を向いたまま動かない相葉くんの体を力一杯揺すった。
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