その手で触れて確かめて
第2章 劣情と熱情と純情と (A × M )
「て、てめ、よくも…」
「あっ、ここも血が出てる♪」
涙目でのたうち回るヒロシを見下ろす気分は最高だった。
「おま、やめろ!!」
「あっ!?」
気づいたら、
ヒロシの体が俺に覆い被さるようになっていて、間近にあったその顔に、逆に見下ろされていた。
が、その顔が見る間に赤くなって、
「ごめん」と呟くように言いながら、体を起こした。
「う…うん。」
驚いた…。
初めて声をかけられた日、俺をトイレの個室に連れ込んだヤツとはとても思えない、意外な反応。
ヒロシは、背を向け頭をがしがし掻き毟る。
「言っとくけど、男とも女ともヤる、っていうのはホントだからな?」
「バイ、ってこと?」
「ガキのくせによくそんな言葉知ってんな?俺の場合はちょっと違う。」
「違う、って?」
「挿れるアナがありゃ、犬でもなんでもいい、ってことだ。」
「ちょっとじゃないじゃん…?」
不快を露にする俺の肩を笑いながらボンボン叩いた。
「そうだな?ま、どっちにしろあのクラブには2度と行くな、ってことだ。」
「…そうする」
これ以上、不毛な会話を続けるのも時間のムダのような気がして帰り支度をしていると、
ヒロシの腹の虫が盛大に鳴って、俺を引き止めた。
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