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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



数年後、再び俺たちの前に現れた翔はまるで別人だった。





あんなに人懐っこく笑うヤツだったのに、他人と一線を画するように常に眼鏡をかけ、にこりともしない。



それどころか人を上から見下ろすように笑う。



おまけに海外での生活が長かったため外国語はペラペラ。



それに、お互いもういい大人だったから酒や煙草の味も知っていたのはそうでもなかったけど、



何より一番ビックリしたのは、



男と付き合っている、と本人の口から聞かされた時は、脳天を大きな鉄槌でかち割られたような衝撃を受けた。



相手は雅紀。海外の名だたるセレブが集う怪しい館で知り合ったらしい。



仕事も、秘書という肩書に収まらず商談をする場には必ず雅紀に随行し大きな成果を上げていた。



そして、これは後から聞いた話だが、当時、社長の立場にあった雅紀の母親から娘婿と重役の椅子を打診されていたが断ったらしい。



翔が俺らに対して何かしらの考えがあって家を出たのだから、その話は受けて当然のようにも思えたんだけど何故かそうしなかった。



まあ、今現在雇われの立場ながら結局、社長の椅子に座ってんだから、結果オーライ、ってとこなんだろうけど。




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