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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



そして今、



嫁さんが三歳になる娘を連れて北陸にいる智の息子のところに泊まりがけで遊びに行っているとかで、ここ実家では今、翔と父さんの二人だけしかいなかった。



ちょうど風呂から上がったばかりで、タオルで頭をごしごし拭きながらパンフレットのようなものに目を通していた。



「お疲れ。大変だね?」



プルタブを開けた状態の缶ビールを目の前に差し出すと、サンキュ、と受け取り喉に流し込んだ。



翔「父さんの意見を聞こうと思ってさ?」


「ふーん。」



翔はテーブルの上に、所狭しとパンフレットを広げ難しい顔をしていた。



「これ何のパンフレットなの?」


翔「保養所。今度うちでも新しく作るんだよ。」


「へぇ?」



参考にしようと思って?と、翔は笑った。



「どこに作るか、大体の目星はついてんの?」


翔「沖縄とか北海道とか、いいかな?なんて…考えてんだけど…」



ため息をついて、手の中にあったパンフレットを目の前に放り投げた。



翔「上にお伺い立てないとダメなんだよなあ…」



呻きながら頭を掻き毟る翔を見て、雇われ社長、って楽じゃねぇな?少し同情してしまった。



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