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その手で触れて確かめて

第19章 俺のアニキ(M × S )



「なんだ、夢か…」



慌てて飛び起きるともう夜は明けていて、食事の支度ができた、と家政婦が部屋のドアをノックした。



翔「オッス、寝坊助。やっと目が覚めたか?」


「…うるせえな。」



小さな声で毒づきながら席についた。



あんないい夢見たばっかなのにムカつくな?



目の前で微かに湯気が上がっているオムレツにフォークをぐさりと突き立て口の中に放り込んだ。



カチャカチャと食器の音しか聞こえてこない空間に、突如としてインターホンが鳴り響く。



翔「誰だ?こんな朝早くに?」



が、インターホン越しに聞こえてくる声に聞き耳を立てていた俺たちにとってその声は、イヤと言うほど聞き飽きていた声だった。



雅『朝早くに申し訳ない。相葉です。』



な…何で!?



口の中のものを無理矢理飲み込もうと、せっかく流し込んだコーヒーをぶちまけてしまった。



突然の雅紀の訪問に戸惑い気味の家政婦に変わって翔が応対する。



何をどう話したのか、インターホン越しの会話を終えた翔が俺に背を向けたままこう言った。



翔「潤、お前さ…」


「何?」


翔「さっさと飯食って顔洗って着替えろ。」


「何だよ?飯ぐらいゆっくり…」


翔「いいから!!」



首根っこを掴まれ椅子から立たされる。



「…分かったよ。」



俺は小さく舌打ちしダイニングを後にした。


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