その手で触れて確かめて
第19章 俺のアニキ(M × S )
「は…何なの、急に?別れるとか別れないとか。」
そう。俺がムカついて家を出た理由。
それは…
「結婚?社長が?」
ある日、偶然聞いてしまった雅紀の結婚話。
妹の澪さんが結婚した今、次は雅紀に嫁を、って話が出てるらしくて、
しかも、相手は具体的に何処其処のお嬢さまだという名前まで上がっていた。
妹の澪さんが結婚したこともあるし、社長という立場上、雅紀自身も両親からそろそろ身を固めるように、と言われているらしい。
「まだ半人前だから。」と雅紀ははぐらかしているらしいけど、いつまで通用するか…。
雅「もしかして、あの噂を聞いたのか?」
「噂、って?」
雅「俺が結婚するとか、っていう…」
「だから、家を出たのか、って?」
雅「…違うのか?」
そう。
雅紀が仕事を理由に約束を守らないとか、ドタキャンをするとか、
そんなことはどうだって良かった。
雅紀は会社社長であると同時に相葉家の跡取り。
結婚は避けて通れない。
こうして雅紀とケンカすることは愚か、
会うことすら出来なくなる。
だから、せめてもの思い出作りにと言い出した二人だけの海外旅行。
でも、雅紀は当たり前みたいに「仕事が入った」と、頭を下げた。
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