その手で触れて確かめて
第4章 戸惑う唇(O × S)
「君か?亀梨くんていうのは。」
見れば見るほど、どうして彼が、という思いが頭をめぐる。
切れ長の目からは、
氷のような憎悪しか感じられない。
「亀梨…和也です。」
と、緊張した面持ちで彼が頭をさげてきて、
俺はいつの間にか眉を八の字にしかめ、彼のことを頭の先から爪先まで無言で見ていたことにはっとした。
あ…しまった。
「ごめん。つい…今までの翔の友達とは違うタイプだったからつい…。」
ダメだな…俺としたことが。ついつい。
「家の前まで来て立ち話も何だからどうぞ?」
二人は俺の後に続いて家に入った。
「後でお茶持っていってやるから。」
笑いかけると、羽織っていたコートを脱ぎながら自分の部屋へと向かった。
その少年が、俺の姿が見えなくなるまで黙って見ていたことにも気がつかずに。
気のせいかな?と頭を傾げながら、
キッチンへと向かう。
終始彼から感じた突き刺すような目線。
確かに、あんな鋭い目をしてたらそう感じるのかもしれない、と、
そう、思い込ませようとしながら、
俺は、カップを満たすコーヒーに映りこんだ自分の顔をじっ、と見つめた。
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