その手で触れて確かめて
第4章 戸惑う唇(O × S)
「翔…それって…」
もし、翔の言ってることが本当だとしたら…
「だからお願い!兄さんの友達に、お父さんが警視庁に勤めているって人がいただろ?」
「う…うん。」
激しく翔に肩を揺さぶられながら思いを巡らせる。
…だとしたら、俺たち素人が首を突っ込むのは…
かなりやばい気がする。
「だったら、調べ直してくれるよう、お願いしてよ!!兄さん。」
翔のこの様子だと、
一人でも調べかねない。
「…分かった。」
「ホントに?」
「ただし、もし、再捜査ということになって、それで何も出て来なかった時は…。」
翔はごくりと唾を飲み込んだ。
「その時はもう2度と首を突っ込むな!!分かったな!?」
この時の俺は、ただ、翔に危ない橋を渡って欲しくない一心で、
親父と祖父がエリート警察官だという岡田に頭を下げた。
そして、後日、再捜査ということになったが、結局、新しい証拠は見つからなかった、
と、岡田の口から素人でも分かりやすい言葉で説明され、
その様子を少し離れた場所から腕を組み眺めていた俺と岡田の目があるにも関わらず、
翔は声を上げて泣き崩れた。
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