
おさななじみ。
第2章 せいちょう。
「孝ちゃん」
まだ喧騒がとけない昼休み過ぎ、次の授業の支度に取り掛かっている孝基に声を掛けた。由樹の方から孝基のいる教室に入っていくことは珍しくて、それだけで孝基の目を多少は見開かせることが出来る。しかもついさっきまで一緒にご飯を食べていたのだから尚更だった。
「どうしたの?」
何か伝え忘れたのだろうか?孝基は由樹の次に出るであろう言葉を待つ。しかし見つめ合うばかりで待てども時間ばかりが早足に過ぎていく。しばらくすると孝基の方が気がついた。この顔は何かを溜め込んでる顔だと。
「いこう」
言うと同時に由樹の手を引き教室を後にする。ここ数日の間で既に見慣れた光景だった。その行動に、なかなか要件を切り出せなかった由樹は戸惑うより安堵の息を密かにもらしていた。ぐんぐんと先ほど二人で歩いてきた道を行く。そうして屋上に出る扉を開けると、そこにはまだ数人の男女がまばらに残っていた。サボりでもするつもりなんだろうが孝基は彼らに構いもせず、彼らから死角になる位置に由樹を引っ張る。
本来ならば何かと噂の二人を見かけたのだから興味が出て盗み聞きくらいするところだろうが、なにぶん屋上とこそこそと人目の付かないところに入っていかれたからには、恐くてその先を聞きたくない、見たくない気持ちが勝ってしまったのだろう。残っていた彼らはばつが悪そうに一人また一人とその場を去っていった。
「由樹、何か悩んでるでしょ」
バタンバタンと何度か扉の開閉する音を聞いてから孝基が切り出した。まだ手は引っ張ってきたままの状態で。
「…変な顔してるよ」
モジモジと動くばかりで口を開かない由樹にボソッと呟くと由樹は変な声を出して空いている片手で自分の頬辺りを押さえる。
「嘘だよ、どうしたのか言ってごらん」
その行動ににやっと笑うと孝基はそう促した。
まだ喧騒がとけない昼休み過ぎ、次の授業の支度に取り掛かっている孝基に声を掛けた。由樹の方から孝基のいる教室に入っていくことは珍しくて、それだけで孝基の目を多少は見開かせることが出来る。しかもついさっきまで一緒にご飯を食べていたのだから尚更だった。
「どうしたの?」
何か伝え忘れたのだろうか?孝基は由樹の次に出るであろう言葉を待つ。しかし見つめ合うばかりで待てども時間ばかりが早足に過ぎていく。しばらくすると孝基の方が気がついた。この顔は何かを溜め込んでる顔だと。
「いこう」
言うと同時に由樹の手を引き教室を後にする。ここ数日の間で既に見慣れた光景だった。その行動に、なかなか要件を切り出せなかった由樹は戸惑うより安堵の息を密かにもらしていた。ぐんぐんと先ほど二人で歩いてきた道を行く。そうして屋上に出る扉を開けると、そこにはまだ数人の男女がまばらに残っていた。サボりでもするつもりなんだろうが孝基は彼らに構いもせず、彼らから死角になる位置に由樹を引っ張る。
本来ならば何かと噂の二人を見かけたのだから興味が出て盗み聞きくらいするところだろうが、なにぶん屋上とこそこそと人目の付かないところに入っていかれたからには、恐くてその先を聞きたくない、見たくない気持ちが勝ってしまったのだろう。残っていた彼らはばつが悪そうに一人また一人とその場を去っていった。
「由樹、何か悩んでるでしょ」
バタンバタンと何度か扉の開閉する音を聞いてから孝基が切り出した。まだ手は引っ張ってきたままの状態で。
「…変な顔してるよ」
モジモジと動くばかりで口を開かない由樹にボソッと呟くと由樹は変な声を出して空いている片手で自分の頬辺りを押さえる。
「嘘だよ、どうしたのか言ってごらん」
その行動ににやっと笑うと孝基はそう促した。
