
おさななじみ。
第1章 はじまり。
月日は流れてあれ以来何度目かの春。
志場由樹と道野辺孝基は高校生になっていた。
由樹は小学生の時分と違い、多少のこと打たれ強くなっており、その為かどうかは定かではないが学生服を着崩し、その首もとからは派手なピンクのシャツを覗かせている。振る舞いも今まで押さえつけていた反動なのか、男にしてはナヨナヨと見える時があると周囲に噂される程だった。
対して孝基は模範的とも言える姿をしていた。彼は元々からして良くも悪くも目立たない存在で有るがゆえに、飛び抜けて個性というものを持っていない。自分がないわけではないのだが、主張したかと思えばその回答が一般的過ぎるのである。教科書でも読んでいるのかと思い違えられることも多々あり、それはソレで奇特な存在だった。
そんな二人が幼馴染み同士なのである。
浮いている同士が傍に居れば、尚のこと浮いてしまうのは火を見るより明らかだった。隣を歩いているだけで目立ち、少し笑い声をたてると目立ち…既にそんな扱いを何年か前から受けていたため、当事者たちは気にもとめていなかったのが現状だ。
しかしこの状況に、由樹は以前から少なからず不安を抱いていた。小学生の時に自覚していたが、自分の精神面の性別が女性寄りなのではないかということだ。
好きなものが女の子っぽい。しかし今まで孝基以外にトキメキを感じたことはない。女の子だって可愛いと思うことは多々ある。まだまだ確信を持つには微妙過ぎるのだ。
しかし恐らく周りからは、志場由樹は内面が女性なのだろうと思われているだろうこと。これが厄介なのだ。自分がそう誤解されていることはこの際どうでもいいにしても、いつも一緒にいる孝基まで誤解されているのではないか?という不安。
実際にデキているのであれば自分は孝基を好きなのだから問題はないものの、デキていないどころか想いすら伝えていないのだ。孝基からNOと言われていない限り傍には居たいし、でも周りに孝基を誤解してほしくはない。由樹は日々そのジレンマに頭を抱えていた。
志場由樹と道野辺孝基は高校生になっていた。
由樹は小学生の時分と違い、多少のこと打たれ強くなっており、その為かどうかは定かではないが学生服を着崩し、その首もとからは派手なピンクのシャツを覗かせている。振る舞いも今まで押さえつけていた反動なのか、男にしてはナヨナヨと見える時があると周囲に噂される程だった。
対して孝基は模範的とも言える姿をしていた。彼は元々からして良くも悪くも目立たない存在で有るがゆえに、飛び抜けて個性というものを持っていない。自分がないわけではないのだが、主張したかと思えばその回答が一般的過ぎるのである。教科書でも読んでいるのかと思い違えられることも多々あり、それはソレで奇特な存在だった。
そんな二人が幼馴染み同士なのである。
浮いている同士が傍に居れば、尚のこと浮いてしまうのは火を見るより明らかだった。隣を歩いているだけで目立ち、少し笑い声をたてると目立ち…既にそんな扱いを何年か前から受けていたため、当事者たちは気にもとめていなかったのが現状だ。
しかしこの状況に、由樹は以前から少なからず不安を抱いていた。小学生の時に自覚していたが、自分の精神面の性別が女性寄りなのではないかということだ。
好きなものが女の子っぽい。しかし今まで孝基以外にトキメキを感じたことはない。女の子だって可愛いと思うことは多々ある。まだまだ確信を持つには微妙過ぎるのだ。
しかし恐らく周りからは、志場由樹は内面が女性なのだろうと思われているだろうこと。これが厄介なのだ。自分がそう誤解されていることはこの際どうでもいいにしても、いつも一緒にいる孝基まで誤解されているのではないか?という不安。
実際にデキているのであれば自分は孝基を好きなのだから問題はないものの、デキていないどころか想いすら伝えていないのだ。孝基からNOと言われていない限り傍には居たいし、でも周りに孝基を誤解してほしくはない。由樹は日々そのジレンマに頭を抱えていた。
