
おさななじみ。
第1章 はじまり。
「ねえ由樹、この前言ってた映画さテストが終わったら見に行かない?」
ようやく暖かくなり始めた気候の帰り道、他愛のない会話を中断して孝基が切り出した。二人して特に部活動にも入っていない為、外はまだ明るい。いつもなら喜んで即答する由樹だったが、高校生に上がってから周りが恋愛だなんだと色気付いてきたこともあり、一瞬歩みが止まりそうになった。
由樹は孝基が好きなのだ。由樹の脳内では密かに孝基との遊びはデートに変換されているのだ。しかし孝基のことを本当に思うと、ソレは反って迷惑へと転じてしまう。去年まではそんなこと考えもしなかったのに…思春期の男女の成長をこのときばかり恨んだことはなかった。
「…あー、どうかなあ、追試とかになったらあれだし…予定経てて変更になったりすると孝ちゃん大変じゃない?」
正直自分の言い訳に渇いた笑いが出そうになった。自慢じゃないが、今の今まで自分も孝基も追試を受けたことはない。それよかその心配すらないくらい勉強は出来ていると自負できる。なのにいざ出た言い訳は酷いもので、自分で言っておいて頭を抱えたくなった。
もちろんいつも傍にいる孝基も同じことを思っていた。まず疑問系で聞いてはいるが、それは確定事項のつもりだったこと。そして訳のわからない言い訳によって渋られていること。孝基をポカンと間抜けな顔にするには充分過ぎるものだった。
「用事でもあった?」
なら初めから言えよ。怒っている風でもなく話題は次へと流れた。変に考えるからややこしくなるのかと、由樹は学習した気分でいた。
そのあとの帰り道、由樹は後悔とこれで良かったんだという気持ちとを交互に繰り返し、孝基の話など遠くに聴いていただけだった。
ようやく暖かくなり始めた気候の帰り道、他愛のない会話を中断して孝基が切り出した。二人して特に部活動にも入っていない為、外はまだ明るい。いつもなら喜んで即答する由樹だったが、高校生に上がってから周りが恋愛だなんだと色気付いてきたこともあり、一瞬歩みが止まりそうになった。
由樹は孝基が好きなのだ。由樹の脳内では密かに孝基との遊びはデートに変換されているのだ。しかし孝基のことを本当に思うと、ソレは反って迷惑へと転じてしまう。去年まではそんなこと考えもしなかったのに…思春期の男女の成長をこのときばかり恨んだことはなかった。
「…あー、どうかなあ、追試とかになったらあれだし…予定経てて変更になったりすると孝ちゃん大変じゃない?」
正直自分の言い訳に渇いた笑いが出そうになった。自慢じゃないが、今の今まで自分も孝基も追試を受けたことはない。それよかその心配すらないくらい勉強は出来ていると自負できる。なのにいざ出た言い訳は酷いもので、自分で言っておいて頭を抱えたくなった。
もちろんいつも傍にいる孝基も同じことを思っていた。まず疑問系で聞いてはいるが、それは確定事項のつもりだったこと。そして訳のわからない言い訳によって渋られていること。孝基をポカンと間抜けな顔にするには充分過ぎるものだった。
「用事でもあった?」
なら初めから言えよ。怒っている風でもなく話題は次へと流れた。変に考えるからややこしくなるのかと、由樹は学習した気分でいた。
そのあとの帰り道、由樹は後悔とこれで良かったんだという気持ちとを交互に繰り返し、孝基の話など遠くに聴いていただけだった。
