1人じゃなくて。
第4章 No.4
「ごめんね―奈瑠ちゃん。俺は梓川恭也(あずさがわきょうや)!この部屋の前の部屋が要だから……その隣の部屋!」
要に続いて、恭也も整った顔立ちだった。淡い栗色の少しハネた髪をフワフワさせながら、キラキラする瞳は奈瑠には眩しかった。
「……って、え?部屋って…何ですか?」
「あ―そういえば、一歩も此処から出てなかったな。」
ふと立ち上がった要は、扉を開けた。
「……え?」
扉を開けた向こうには…廊下と、この部屋同様のお洒落な木の扉。
「ん。ちょっとこっち来てみ。」
要に手招きされた奈瑠は、立ち上がった。
が、しかし
怪我をしている事を忘れ、バランスを崩した。
「わっ…!」
───ポスッ───
「っと、ギリギリセーフ。………大丈夫?奈瑠ちゃん。」