1人じゃなくて。
第4章 No.4
「さて……奈瑠。歩け無いよな?」
「…ごめんなさい」
奈瑠の足を見ると、両足共に包帯で巻かれていたり、絆創膏が貼られていたり、湿布も貼ってある。
そんな痛々しい姿を見て、恭也がポンッと手を叩いた。
「じゃあさ、要がお姫様抱っこしたら良いんじゃない?」
一瞬場が固まった。
「いや!それは…ちょっと……私重いし…。」
「それはない。」
要は立ち上がった。
「お前にしちゃ良い考えだ。よしそうしよう。」
「えぇっ!?」
奈瑠は必死に要から離れる。ズルズルとシーツが乱れていった。
「いいですよ!……頑張って歩きますからっ!」
「ほ―らっ、逃げないの!今の状態じゃ絶対歩けないでしょ。」
「でっ…でも!」
ここは素直に従うべきなのか、しかしお姫様抱っこで建物内を見てまわるのもどうか…明らかに恥ずかしすぎる。
「そんなんじゃ、今日一日ずっとベッドだぞ。どっちみち、外に出る事もできないんだから。今日は泊まってくれた方が安心だし。」
な?と両手を出して準備万端な要。一瞬、やっぱり…と思ったが、これ以上は聞いてくれなさそうなので…
「……絶対重いですからね。途中で下ろしてくれても良いですからね。」