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清純派リミット。

第2章 賞味期限





"Dolls cafe"



瀬野くんのバイト先はお洒落な雰囲気のカフェだった。


こんなとこでバイトしてるんだ…
ふふ、なんか意外…


わたしは向かい側の本屋で雑誌を立ち読みして瀬野くんが出てくるのを待った。


もうすぐで午後5時。瀬野くん、遅いな…

門限は8時。
はやくしないと帰らなきゃいけなくなる…



溜息をついた瞬間、お店の裏側から出てくる人影が見えた。



「瀬野くんっ…!」



あたしは急いで追いかけ、その後ろ姿に声をかけた。



「…またお前かよ」



振り返り、声の主があたしだと気付いた瞬間、瀬野くんの冷たい視線が注がれる。



「瀬野くんっ…お願いだから…
その…今日だけでいいから…」

「あーあ。またそれ?」

「き、今日だけでいいんです…!」

「てかさぁ、なんでそんなに焦ってんの?なんかあるわけ?」

「それは…っ」



もう、正直に言うしかない



「あたし、恋愛経験とか、そういうの全然なくて…
彼氏もいたことないし、こんなままではたちになりたくないっていうか…
おばあちゃんとの約束っていうか…」

「は?処女捨てんのが?」

「違くて、約束を…破りたくて……」



瀬野くんとわたしの間に少しの沈黙が訪れたあと、瀬野くんがわたしに近づいて口を開いた。







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