
清純派リミット。
第2章 賞味期限
「ま、ここでいっか。」
辿り着いたのは普段あまり人気のない旧校舎の男子トイレの前。
ガチャリ
疑問を投げかける間もなくトイレの個室に連れられ、瀬野くんは一瞬で鍵を掛ける。
「ちょ…」
「トイレでヤるの、嫌いじゃないんだよね」
瀬野くんはわたしの両脇に手をついて上から見下ろしながらにやりと怪しげな表情を浮かべている。
なにこの体制…
逃げられない…っ
って、
わたしが言い出しっぺなんだけど…
でもなんかこれ
こんなのって…
初めてなのにトイレでなんて聞いてないよぉ…!!
思わずギュッと両目を瞑った。
「あれ?どしたの?怖くなっちゃった?」
瀬野くんはわたしを囲っていた手の片方をどけ
てわたしの顔を覗きこむ。
「ちっ違います…」
自分から誘っておいて今更やっぱりやめるなんてそんなこと言えるわけない。
けどやっぱり…
「あ、あのっ…!!」
「ん?なに?」
瀬野くんの声のトーンが優しい。
わたしが怖がってるって、察してくれたのかな
見つめられる優しい眼差しに思わずドキッと胸が鳴る。
「その…やっぱりあたし…と…」
「と?」
「トイレは嫌ですっ……!」
