
清純派リミット。
第2章 賞味期限
瀬野くんの声のトーンが低くなる。
「でもっ……あの…迷惑ですか…?」
「別に」
「じゃあ…」
瀬野くんはもう片方の手も壁から離し、あたしから離れた。
「そんな震えてビビリまくりじゃん。
自分大事にしてんなら初めては彼氏にしてもらえ」
「いないです…彼氏とか」
「彼氏じゃなくても好きな奴とかさぁ」
「いません…」
「…はぁ…」
「なんでダメなんですか?女の子なら誰でもいいんじゃ…」
「あのなぁ、俺だって多少は選ぶっつーの」
なんだかさっきまでとは別人の様な冷めた口調。
「まぁあんたよく見ると結構可愛いし俺的には大歓迎だけど
」
するりと頬に冷たい手の感触
急に顔を近付けられて、とっさに後退りする。
「ほら、やっぱビビってんじゃん」
「ちがっ…大丈夫です…!瀬野くんがいいんですっ…!」
瀬野くんの手がわたしの頬から離れ、ドアの鍵を開けた。
「やーめた。めんどくせぇ」
