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第3章 視線を紡いで by みきちん

それからほぼ毎日
CDショップに彼は来てる。


彼は俺より遅れて入店するから
顔を見ることが出来ない。


彼の名前を知りたい
彼の顔を見たい
彼の声を聞きたい


知りたい事はたくさんあるが
俺にはどうすることもできない。



俺と彼とを繋ぐもの……



――彼からの視線



彼が僕を見つけてくれないと
成立しない繋がり。


だから俺はいつも同じ場所にいる。


彼が俺を見失わないように……


そして、
店内の時計がいつもの時間を指す。


「いらっしゃいませ」


他の人には
どうでもいいおっさんの声。


俺にとっては
彼の入店を知らせる合図。



いつものように
ヘッドフォンをつけ曲を聴いている。


ボリュームは最小限。


彼がもし声をかけてくれたら
すぐに気がつけるように。


今日もいつもと変わらない時間が流れる。



――感じる視線



それだけで俺は幸せだ。


変わってしまうと彼に会えなくなる。


でも、もっと彼に近づきたい。


そう思っていたら無意識に彼を見つめていた。


暫くすると彼と視線が合った。


でも、すぐに視線を逸らされた。

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