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第24章 Caramel pudding by つぎこ
「…へえ?旨そうじゃん?」
…そう。
ほんの挨拶程度のつもりで、声を掛けたんだ…。
早めに着いたレッスン場。まだ誰もいない時間なはずなのに、先客がいて…。床に胡座をかいて、携帯を弄りながらプリンを食べてる、見かけない顔…。
新入りらしいソイツは、俺を見上げると、にっこりと笑った。
「これ、新発売だって。食べる?」
コンビニプリン、秋の新商品。
「いや、いいよ。」
てか、ここ、飲食禁止だって。
「はい、あーん。」
スプーンに乗ったプリンが、俺の目の前に…。だから、そんなつもりじゃないんだって…。
それに、あーん…って、ねぇ?
俺相手に、こんなコトするヤツ、他にいないよ?
「いいって。」
「ふふ。ほらぁ。」
無邪気な、まだコドモの瞳。
「だから、俺はいいって。」
「溢れちゃうからっ。早くっ。あーん。」
目の前で、ぷるぷると揺れるプリン。
もう。仕方ないなぁ…。
言われるまま、口を開けた。
「あ…、旨っ。」
「ねねっ。美味しいでしょ?」
ソイツは俺の反応に、はにかんだように笑った。
なんか、調子が狂うんだよなぁ…。
思えばこれが、俺の初恋、だったんだよな。
この時、不覚にも恋に堕ちていて…。
で、自覚した途端に失恋だってね、オマケ付きで…。