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第33章 幸せの距離 by のさまじょ

それから、ニノが寝てしまうまで。


俺は身じろぎもできなかった。


どきどきする心臓の音が、聞こえないか心配だった。


ニノが規則正しい寝息を立てると、やっとほっとした。


我慢できなくて、そっとニノを抱きしめた。


髪に顔を埋めて、ニノの匂いを堪能した。


「ニノ…好きだよ…」


初めて言葉にした。


いつも心の奥底で、呟いていた言葉。


叶うはずのない願望。


言っちゃいけないと思っていても、腕の中にいると…我慢できなくて…


「好きだ…」


髪に頬をこすりつけると、ニノが震えた気がした。


そっと腕を外すと、ニノに腕枕しながら眠った。


朝、起きたらニノは俺にしがみついたまま寝てて。


そんなに寒かったかな…


まだ冬の入り口なのに。


「ニノ…仕事、遅れるよ…?」


「ああ…ん…おはよ…雅紀…」


「は?え…?」


久しぶりに名前で呼ばれた。


以前はよく、名前で呼ばれてたのに、最近は苗字で呼ばれることが多かったのに。


「あ、おはよ…ニノ…」


寝ぐせのついた髪。


そっと撫でてやると、じっと俺を見た。


「なに…?」

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