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第35章 待つだけなんてガラじゃない by mimi

少しずつ日が落ちる通学路を自転車がゆっくりと走る。


帰りにまーくんの自転車に乗るなんてあまりない。


いつもと逆走してるからか流れる景色がすごく新鮮。


「和、勉強進んでる?」

「うん?まぁまぁ」

「あとでね、対策ノートあげるね」

「対策ノート?」

「俺の手作り」


鼻唄まで歌ってご機嫌だけど、まーくんの手作りって不安しかない。


まーくん、スポーツ専攻クラスじゃん。


「あ、今大丈夫かなって思ったでしょ?」

「え?」

「大丈夫、翔ちゃん監修だからね!翔ちゃんって学年一頭いいんだよ。図書館で対策ノートまとめてたんだけど分からなくなっちゃって。唸ってたら声掛けてくれたの。それでね、仲良くなったんだよ」


そっか、それでか。

んふふ。


「ねぇ」

「ん?」

「俺も雅紀って呼んでいい?」

「えぇっ?」


そう言った瞬間、自転車が大きく傾いた。


「もー、危ないなぁ」

「えっ?なに?なんで?なんでそんな…」


漕ぐのをやめて、慌てて振り返ったまーくんの顔がちょっと赤いのは寒さのせい?


それとも俺のせい?

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