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Welcome to our party

第38章 Spice by つぎこ







「…なんでもない、ねぇ。」

誰もいなくなった、ふたりきりの楽屋。俺はいつものように、じわりじわりと彼を嬲り始める。


「俺のコトなんて、なんでもないんだ?」

「…違う。」

「彼のコト、まだ好きなんでしょ?」

「…違う。」

淡々と責める俺に、今にも泣き出しそうな顔してる。



そう。その顔…。

その顔が、好きなの。

俺はね、あなたのそんな顔が、好きなの。


みんなに見せる顔は、キライ。

いつでもどんなときでも、笑っててさ。

キラキラでね。

眩しくてね。

すごくキレイでね。

でもね、俺はキライなの。




「じゃ、それ、証明してくれる?」


これでも随分譲歩してあげたつもりなのにね…。


だけど俺がにっこり笑って差し出した手に、一瞬、躊躇ったよね?

揺らいだ瞳と、その僅かな間が、スイッチを押した。


無言で腕を掴み、ぐいと引き寄せる。

わざと掴んだ鬱血の痕。

その鈍い痛みに顔を歪ませた。


「…痛いの?可哀想に…。」

あなたがいけないんだよ?

あなたが俺の大切にしてる場所、うっかり触らせてしまったりするから…。


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