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第44章 -Laundream- by しーま
次の金曜日、コインランドリーに行くと見覚えのある姿が。
「あ、良かった。やっと会えた」
ベンチに座っていたその人は、俺を見つけてあの笑顔を向けた。
「いつ来るかなって思ってて。金曜日なんですね」
はい、と百円玉を3枚渡しながらそう言う。
…え、毎日来てたってこと?
きょとんとする俺の顔を見て、察したように続ける。
「ヒマなんですよ、僕。貧乏だけど」
ヘラッとおどけた様に笑うと、またベンチに座った。
それから、毎週金曜日にその人とコインランドリーで会うのが習慣になった。
乾燥が終わるまでの時間、他愛のない話ばかりだけど、なんだか心地良かった。
なんとなく、俺と雰囲気が似てる。
角がなくて、話しやすい。
「もうすぐクリスマスだねぇ」
「あぁ…そうですね。俺、クリスマス嫌いなんです」
「あ、俺も。え、なんで?」
「いや…俺イブが誕生日なんで。完全に脇役で」
へへっと笑うと、その人がぷっと吹き出す。
「…イブが誕生日とか可愛いね」
言い終わるとちょうど乾燥終了の合図が鳴った。
”誕生日が可愛い”なんて、初めて言われた。
この人は不思議な感覚を持ってるんだな。
「あの、なんでクリスマス嫌いなんですか?」
服を取り出す後ろ姿に問いかける。
「…ん〜、サンタだから」
そう答えると「じゃあまた」と笑って出て行った。