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第46章 紅華 by アロエリーナ

「相葉は先輩のオモチャじゃ‥」

「わっ悪いけど、また今度ね!
智、返事し忘れてゴメン。行こっ」


ニノは苦しそうな顔で
オレたちを見送った。

ごめん‥オレは大丈夫だから‥


智は微笑んだまま、オレを助手席に乗せた。

いつものマンションではなく
アトリエに着いた。


部屋に入ると、描きかけの絵が
あちこちに散乱していた。

破かれたり、丸められたり
大きなバツが書かれている物もある。


「‥笑っちゃうだろ。
期待の新鋭画家の、成れの果てさ」

思いもよらない光景に、息を呑む。


「ただのスランプだろ?大丈夫だよ。
智は誰もが認める、天才なんだから‥」

そう言うと
智は顔色を変えて声を荒げた。


「やめろ!僕は天才じゃない!」

智は近くにあったバケツを掴み
オレに中身をぶちまけた。


絵の具を溶かした水が入っていたようで
オレの全身も、そこら中も朱に染まった。

惨劇の現場さながらに。


「僕を無視して、友達と浮気かい」

智が見せたスマホの画面に
オレとニノが写っていた。

それは先刻、額を合わせた瞬間のだった。

「なぜこれを‥違う!話してただけで‥」

「大学院生に僕のファンがいて
雅紀を監視してもらってるんだ」

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