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回りの人達はゆっくりと歩いているのに、俺とその人だけはじっと止まって夕日を見ている。


もしかして…日本人…？


でも、眼が大きくて彫りが深い。


その眉はしっかりとした意思を表すように、太い。


長いまつげまで、ここから見えそうだった。


白い肌が、夕日を綺麗に映してた。


まるで女性みたいな色をした唇は、うっすらと笑みを浮かべている。


沈みゆく太陽を眺めることも忘れて、その男を見た。


やがて太陽が沈みきってしまうと、あたりは薄暗くなった。


空が夕方と夜の境目に、美しいグラデーションを描いていた。


その人は、俺の視線に気づいた。


目が合うと、少しだけ照れたように頭を下げた。


俺もぺこっと頭を下げると、急いで視線を逸らした。


とても、綺麗な瞳だった。


椰子の木に凭れていると、俺の傍をその人は通って行った。


俺もホテルに帰るか…


そう思って、身体を翻した。


今日の晩飯、どうしようかな。


一人でトボトボと観光地のメインストリートを歩くほど、侘びしいものはない。


どうしようもなく、宙ぶらりんなまま歩いた。