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第66章 まさき by きぃな

行き付けの病院はもう『close』の札が出ていて。

「っ、くそ…他にあったかな…」

スマホで検索をかけた辺りを探して回る。

やっとたどり着いた『松本アニマルクリニック』

入り口辺りで片付けを始めている人影があった。

「すっ、すみませんっ、うちの仔が…っ」

その人は俺をチラリと見やると、中へ入るように促した。

───

診断の結果はケンネルコフ。
いわゆる風邪…の一種みたいなものだ。

「あぁ…最近急に寒くなったから」

ごめん、まさき…
バイトにかまけてお前を構ってやれてなくて…
点滴を受けるまさきの頭を撫でながら話しかける。

「数日、様子見だね」

急に飛び込んできた俺を受け入れてくれた松本先生。

端整な顔立ちで、男の俺でも見惚れてしまう…

「犬の知識ありそうだけど…何かやってた?」
「いや、トレーナーを目指した頃もありまして…」

なんて、点滴が終わる間、他愛もない世間話をしていた。

「……なぁキミ、うちで働かない?」
「え…?」
「そしたらこの仔の治療費、従業員割引きにしてもいいけど?」

『割引き』
それは俺にとっての魔法の言葉

「働きます!」
「ぷっ、現金なヤツ」

そんなこんなで
母さん……
俺、やっと就職先が決まりました。

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