テキストサイズ

Welcome to our party

第8章 夢か現か by奏

-告白した日のこと、
忘れてないよ。

俺からだったよね?




初めて、
大野さんを見た日のことも、

忘れられない。




たくさんいる先輩の中で、
大野さんは目立ってた。

…不思議な人だったから。




先輩オーラ無いし、
いっつも眠たそうにしてるし、

全体練習中は、
そう力入れてやってる風でも無いのに、
いざ試合となると超上手くて、

“器用な人”っていうのが、
最初の印象。




でも、それは違ってて、

誰にも知られないように、
一人で努力してた。

大野さんは自分自身で
高い目標を定めて、

そこに向かって努力してた。




たまたま忘れ物を取りに
戻って知った、
大野さんの秘密。

今思えば、
先輩間では周知のこと
だったのかもしれないけど、

新入部員だった俺には、




大野さんの凄いところを、
自分だけ知ってる気がして、

…嬉しかった。




総体で負けた先輩達は、
そのまま引退してしまったけど、

朝や、休み時間、放課後、

気がつくと
大野さんを探していて。




卒業式間近になって、
焦る自分に気付いて、

…誤魔化せないと思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ