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第68章 不器用distance by アロエリーナ

二宮を助手席に載せて、彼のナビで着いたのは、精密機器の製造工場。


時間はちょうど昼休憩。

彼はずかずかと食堂に入っていく。


オレだったら粗品携えて、受付や総務に売り込むけど‥彼はチラシすら持ってない。


「ニノちゃん、いらっしゃい。
羊かん作ったの、食べる?」

「わ~上手!前の漬物もうまかったよ」

「あら嬉しい。また作ってくるわね」


パートのおばちゃん達に囲まれて
ワイワイしてる‥なんだこれ‥


「そういえば、娘が志望校受かったの」

「おめでと!入ってる学資に祝金ついてたね。
ついでに傷害保険も見直す?」


「うちは孫が今度、車買うのよ」

「任意保険もあるよ。パンフ送ろうか」


え、なんか世間話ついでに契約とってる?


何件かアポ取りして、また駄弁ってから
「またねー」と手を振って会社を出た。


顧客と旧知の友達みたいに付き合うなんて
信じられない‥


クラクラして、車のボンネットに
手をついて項垂れた。

たしかに、オレとは全然違う‥


「松本さん、大丈夫?顔色悪いけど‥」

「なんか熱出そう‥」


あ、視界がグルグルして、ホントにヤバ‥

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