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「んー美味しいねー」


食パンのお菓子を智は美味しそうに頬張る。
その横顔も可愛くてつい見とれてしまう。


歩いているとふと、道路沿いに立て掛けられた看板が目に入る。


『桜祭り』


「………」


智の足が止まる。
視線の先にはあの看板。


「………」


俺も…並んでその看板を見つめた。


脳裏に浮かぶのは…きっと同じ。
もう二度と見る事の出来ない…あの人の笑顔。
智が好きだった彼の笑顔。










「桜祭り？」


「そう。今度あるんだって。誘って行って来いよ。翔くんと２人で」


「えっ…」


「告白…いいチャンスなんじゃね？」


「そんな…無理だよおいらには」


頬を赤らめながら…智はうつ向いた。


「大丈夫だって。絶対翔くんも智の事好きだって。だから頑張れ。ウジウジしてても始まんねぇだろ」


「でも…」


あの日、戸惑う幼馴染みの背中を…俺は押したんだ。
自分の気持ちに…蓋をして…。


「男なら行けよ。智。このままだと誰かに取られるぞ。あいつ結構モテるんだから」


「………分かった」

「頑張れ」

「うん」


そして智は深呼吸をして…ベランダで友達と談笑する翔くんの元へと歩いて行った。