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第77章 サクライロ by きぃな

「両手を投げ出して、自然な感じで横になって……」

言われた通りに寝そべると、智サンが俺に近付いてくる

腰の辺りから下腹部を隠すように白い布がかけられて、細かくポーズの修正を繰り返す

「よし」

そう言って立ち上がると、なにやら袋を持ってきた智サン

「これね、マネージャーに集めてきてもらったんだ」

俺の身体にひらひらと散らす

「っわ、これ……桜の花びら?」
「そ。……あれ?あんまり身体にくっつかないね…?」

智サンが散らす桜の花びらは、俺の身体を滑って下へと集まる

「潤、ちょっとゴメンっ」
「え?あ、冷た…っ」

智サンが霧吹きで俺の身体を濡らす
その上に散らす桜の花びらは、智サンの思惑どおり俺の身体に貼り付いた

「ん、いいカンジ♪」

パシャパシャと数枚写真を撮ると、カンバスを立て掛けたイーゼルの前に行き、デッサンを始めた

静かな部屋に智サンが動かす木炭の音

どのくらい時間が経っただろう

いつもと違って、カンバスに向かう智サンの真剣な眼差し

その俺を見つめる熱い視線に蕩かされそう…

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