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第78章 ひとひらの記憶 by アロエリーナ


……

「To be or not to be that is a question…」


ソファーに寝そべって、台本を読む君。


見慣れた部屋…

僕と潤が、二人で暮らした部屋…!


窓の外は、白い雪がちらついている。


テーブル上のコップに、桜の枝が生けてあった。

以前、落ちていた枝を持ち帰ったものだ。


…だからあの場所じゃなく、ここに来れたのか。


「どうした、さと?こっちおいで」


微笑む君の胸に、飛び込んだ。


「さとは甘えん坊だなぁ」


潤は僕の頭を、くしゃっと撫でた。


「…じゅん…潤…やっと会えた…

もう二度と離れない。会いたかった…」


涙が溢れて、止まらない。


「何言ってんだ、オレはずっと傍に居るよ」


潤は戸惑いながらも、泣きじゃくる僕を抱きしめて、なだめてくれた。


唇を重ねると、潤はふと思い出したように
呟いた。


「さと…ついてくるなって、言っただろ?

まだ間に合うから…元の時間に、お帰り」

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