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第78章 ひとひらの記憶 by アロエリーナ

僕は、桜の花びらを取り出して

指先でキュッと潰した。



「もう戻らない。このままずっと潤と居る…

死んでも一緒だよって、約束したじゃない」



時間を超えないと、会えない人。

時間を超えてでも、会いたい人。



君の居ない世界なんて

僕にとっては、死んでるのと同じ。



最後のひとひらは

雪のように解けて消えていった。



…思い出の桜。

再び巡り逢わせてくれて、ありがとう。


僕の一番大切で、愛する恋人の記憶。



“さと、生まれ変わっても、愛し合おうね”



僕たちは、心地良い微睡みの中で

溶け合うように体を重ねた。



……


「…和、智の桜、キレイだね」


「雅紀にとっても、思い出の樹でしょ?」



「小さい頃、ここでよく遊んだからね。

…智、どうしてるかなぁ?」


「きっと、好きな人と幸せになってるよ」



想いを馳せた空に、桜がひとひら舞った。



END

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